「管理について権限を有する者」①
おはようございます、白髪ゴリです
今まで法令関係が殆どだったので、これから「おすすめの消防関係の図書の紹介」や「これから消防士を目指す方へ」、「体力錬成」、「消防飯」など幅広く書いていけたらいいと思います
今回は、タイトルの
防火対象物の「管理について権限を有する者」について
消 防 予 第 5 2 号 平成24年2月14日
各都道府県消防防災主管部長 殿 東京消防庁・各政令指定都市消防長 殿
消防庁予防課長
について書いていこうと思います。
みなさんも一度は見たことがあるかと思いますが、タイトル通り「防火対象物の管理権限者が誰なのか。」についての通知です
前半部分はまだしも、中盤から後半の防火管理者の外部委託や「新築の工事中の建築物等における防火管理及び防火管理者の業務の外部委託等に 係る運用について」はなかなか読み解きづらいですよね
今回はその中でも
表 管理権限者の代表的な例
に出てくる「PFI事業の場合」についていきましょう!
PFI事業の場合の管理権限者は
共有部分:⇒地公法協団体
※事案ごとに、PFI事業契約等の内容から判断
専有部分:⇒地方公共団体
※事案ごとに、PFI事業契約等の内容から判断
と共有部分も専有部分も両方とも管理権限者が同一となっていますね。
これは、指定管理者制度の場合の管理権限者も同一となっています
また別の機会にでも、「管理について権限を有する者」②や③で不動産証券化や指定管理者制度についてやっていけたらと思います。
では、PFI事業とはいったいなんなのか見ていきます
そもそも、PFIとは、生まれてから(英国で)25年ほどしかたっていないまだ若い、公共事業を実施するための手法の一つです。
民間の資金と経営能力・技術力を活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法です。あくまでも地方公共団体が発注者になり、民間企業へ公共事業を行わせるものです。
正式名称は、長いですが
Private-Finace-Initiative(プライベート・ファイナンスイニシアチブ)といいます
PFIと似ている言葉でPPPというものがあります
このPPPというのが非常に重要です!
民間と地方公共団体が連携して公共サービスの提供を行う、計画の伴う枠組みをPPP(Public-Private-Partnership:パブリック・プライベート・パートナーシップ公民連携)と呼びます。PFIは、PPPの代表的な手法の一つです。
PPPの中には、PFI、指定管理者制度、市場化テスト、公設民営(DBO)方式、さらに包括的民間委託、自治体業務のアウトソーシング等も含まれます。
また、いろいろと、市場化テストやDBO方式、包括的民間委託など聞きなれない言葉が出ていましたね
ただ、DBO(Design-Build-Operate デザイン・ビルド・オベレート)方式についてはPFIに似ている事業方式の1つなので紹介しておきます。
DBO方式は地方公共団体が資金調達を負担し、設計・建設、運営を民間に委託する方式のことで民間の提供するサービスに応じて地方公共団体が料金を支払うものです
PFI方式は民間が資金調達を行うのに比べDBO方式は、資金調達コストが低いため、コスト縮減率≒VFMで有利になりやすいです
一方、地方公共団体が資金調達を行うため、設計・施工、運営段階における金融機関によるモニタリング機能が働きづらい点がPFIと異なります
ざっくりですが、こんな違いがあるんですね。
では、話は戻してPFI事業についてみていきましょう
いつもの通り、法的根拠からいきます
日本においては、平成 11 年 9 月に好転しない経済環境や国と地方の財政赤字が危機的な状況 のなかで、行政の効率化と公的財政の健全化の必要性から「民間資金等の活用による公共施設等 の整備等の促進に関する法律」 (平成 11 年法律第 117 号。以下、「PFI法」という。)が施行され、 PFIが本格的に導入されました
PFI事業ができる条件というのも定められており、どの施設でもできるわけではありません
その条件は【8要件:5原則3主義】
■公共性原則:公共性のある事業が対象
■民間経営資源活用原則:民間の資金・経営能力および技術的能力の活用
■効率性原則:民間の自主性と創意工夫を尊重することによる効率的・効果的実施
■公平性原則:特定事業および民間事業者2の選定における公平性の担保
■透明性原則:事業の全過程を通じての透明性の確保
■客観主義:各段階の評価決定についての客観性
■契約主義:明文による当事業の役割および責任分担等契約内容の明確化
■独立主義:企業体の法人格上の独立性または事業部門の区分
となっており、主な対象施設は PFI法第2条に定められています。
【PFI対象施設】
■ 道路、鉄道、港湾、空港、河川、公園、水道、下水道、工業用水道等
■ 庁舎、宿舎等
■ 賃貸住宅 および教育文化施設、廃棄物処理施設、医療施設、社会福祉施設、更生保 護施設、駐車場、地下街等
■ 情報通信施設、熱供給施設、新エネルギー施設、リサイクル施設(廃棄物処理施設 を除く)観光施設及び研究施設
■ 船舶、航空機等の輸送施設及び人工衛星(これらの施設の運行に必要な施設を含む)
以上のことを見たら案外、条件や対象施設に適合するものがあるかと思いますが
全国地域PFI協会を見てみると平成29年度時点でも、PFI法施行(平成11年)以降のPFI件数 は724件とそこまで多くないことが分かりますね。
もし、PFI事業の管理権限者の特定の際にはよくよく契約を見て判断する必要がありますね!
経営や不動産関係は非常に奥深く面白いですね!