法令の中の大文字の『つ』と小文字の『っ』について
あけましておめでとうございます、白髪ゴリです。
今年も徒然と更新していけたらと思ってます!
目指せ、一年継続!
今回はタイトルだけ見ると何のことかわからないですね(笑)
消防法に限らず、民法や高圧ガス保安法などを見ていると『○○にあつては・・・とする』『○○とすることとなつたときは・・・』と「つ」が大文字で表記されていますよね。
ちょっと考えれば、昔からある法律だからじゃないの?との意見も出てきそうですが。
「昔からあるから」の一文で終わらせないのがこのブログです。
なんで、根拠は?をモットーに、さぁ、いきましょう。
確かに昔の名残というのはあっていますが、昔の名残というのは『歴史的仮名遣い』のことですね。ちなみに、今私たちが使っているこのようなものは『現代仮名遣い』と呼ばれています。
では、いつまで歴史的仮名遣いが使われ、いつから歴史的仮名遣いに変わったのか。
『現代仮名づかい』が定められたのは戦後間もない昭和21年です。その後、昭和61年に一部改正され,名称も『現代仮名遣い』となりました。
その結果として、それ以前の仮名遣いを『歴史的仮名遣い』と呼ぶようになりました。
ちなみに昭和61年7月1日の内閣告示内閣告示によって改訂されましたが、内容的には大きな変更はありませんでした。
なお、昭和21年を境に全てが切り替えられたわけではありませんが、かなり急速に広まっており、昭和30年以降になるとほとんどが現代かなづかいに切り替わっているはずです。
では、現代仮名遣いに変わった今でもなぜ、昔の名残として大きい『つ』が使われているのか見ていきましょう。
そのヒントとなるのは
法令における拗(よう)音及び促音に用いる「や・ゆ・よ・つ」の表記について(通知)です。
これはすごく分かりやすかったので全文引用させていただきます。
以下引用
http://www5d.biglobe.ne.jp/~Jusl/Bunsyo/yayuyotu.html
法令における拗音及び促音に用いる「や・ゆ・よ・つ」の表記について |
法令における拗(よう)音及び促音に用いる「や・ゆ・よ・つ」の表記について(通知)
(昭和63年7月20日 内閣法制局総発第125号内閣法制局長官総務室から 内閣官房内閣参事官室あての通知) |
標記の件については、従来原則として大書きにすることが慣行になつているところ、「現代仮名遣い」において「なるべく小書きにする」ものとされていることにもかんがみ、当局における取扱いを別紙のとおりとすることに決定しましたので、参考までにお知らせします。
別添
(法令審査例規)
法令における拗音及び促音に用いる「や・ゆ・よ・つ」の表記について
一 | 法令における拗音及び促音に用いる「や・ゆ・よ・つ」の表記については、次に掲げる規定の部分を除き、昭和六十三年十二月に召集される通常国会に提出する法律及び昭和六十四年一月以後の最初の閣議に提案する政令(以下「新基準法令」という。)から、小書きにする。 | |||||||||||
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二 | 条約についても、一に準ずる取扱いとする。 | |||||||||||
三 | 一及び二は、固有名詞を対象とするものではない。 | |||||||||||
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上の通知文にも書いてある通り、昭和時代(またはそれ以前)からある法律については、平成になってから改正する時も、小文字を使わずに改正しています。
これは、もともと小文字を使っていない法律の中で、改正した箇所だけ小文字が混じると不体裁で見苦しいからです。
したがって、全面的に改正するような場合は、大文字が残る心配はありませんので、小文字を使っています。
というわけで実際には、拗音・促音に小文字を使っているのは「平成になってから新しく作られた(あるいは全文改正された)法律」ということになります。
平成に入ってからの法律はちゃんと『っ』と小文字になってますね。
普段何気なく見ている法令ですが、調べると奥深いですね
「昔からあるものだから」の一言で終わらさないで、しっかり説明できるよう頑張りましょう!